スリ、ホールドアップ、時々テロ。危険なのにちょっと心が温まるフィリピンでのハプニング

私がフィリピンに住んでいた7年間、この国がそんなに危険だと思ったことはありませんでした。

その後フィリピンを出て、ベトナム、グアテマラ、タイの3ヶ国に住んで初めて、フィリピンは割と治安が悪い国だとわかったのです。

なぜそんなに危険に思わなかったのでしょうか。

それはフィリピン人の人情や心の温かさが危険を上回っていたからです。スリやひったくりにあっても、周りの人が全力で助けてくれました。

悪いタクシーの運転手もいるけれど、タダで観光案内をしてくれたり、ごはんまでご馳走してくれる運転手もいました。

「危険」の一言では終わらない、フィリピン人の優しさが詰まったハプニングを紹介します。

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目次

スリに切られたカバン

フィリピン国旗の壁

私はオフィスに行くため、電車に乗っていました。フィリピンでは女性が電車やバスなどで立っていることはありません

必ず男性が席を譲ってくれます

でもその日はラッシュアワーと重なって、電車は通勤の人でぎゅうぎゅう詰めでした。

座るところどころかまっすぐ立ってるのもやっとでした。

駅に到着し、押し出されるように電車を降りました。

その時一瞬カバンが後ろに引っ張れたような気がしましたが、それ以上は何もなく普通に改札口に向かいました。

何となく気になって、カバンを見てみるとざっくり10センチくらい刃物で切られていました

幸い何も取られてはいなかったのですが、お気に入りのカバンに大きな穴が開いてしまいただただショックでした。

そんな私を見ていた1人の女性が、「大丈夫ですか。」と声をかけてくれました。

事情を話すと、「カバン直せるところ紹介してあげます。」と言って、お店の住所を書いてくれました

彼女の親切に加え、もう捨てるしかないと思っていたカバンを直せるのだと聞いて、少し胸が軽くなりました。

そして仕事が終わって、カバンをお店に持っていきました。その1週間後。カバンは直りました。ただ私が思っていたのとは全然違いました。

ざっくり切られたところに大きなお花の刺繍が施してあったのです!!直すっていうのはこういうことだったのですね。

トホホな思い出の一つとなりました。

ショッピングモールのテロ

私はマニラでニアミスも含めてテロに3回遭いました。1度目はカフェでお茶をしていた時、隣のショッピングモールに爆弾が仕掛けられていて爆発しました。

怪我人が数人出ましたが大事には至りませんでした。2度目は友人Aとの待ち合わせ場所に爆弾が仕掛けられていました。

Aが先に待っていて、私が後で合流する予定でした。

その待ち合わせをしているショッピングモールに着くとただならぬ雰囲気でした。

待ち合わせ場所であった中央のホールからぞろぞろと人が出てきました。また爆弾が仕掛けらていたのだとすぐにわかりました。

Aももうどこかに避難してるだろうと思いながら、遠目に待ち合わせ場所を見みました。

爆弾が隠されているであろうと思われるところを機動隊がシールドを持ってぐるりと囲っていました。

そしてまさかのAがそこにポツンと立っているのです。思わず駆け寄ると、Aも半泣きで駆け寄ってきました。

「なんで逃げないの!?

A「ここから動いたらMちゃん(私)に会えなくなると思って。」

「ダメだよ、逃げなきゃ。爆弾しかけられてるんだから!?」

A「みんなボムとかバムとか言ってるんだけど、それ爆弾ってこと!?」

英語がほとんど話せなかったAはBOMB(爆弾)の意味が分からなくて、私を待ち続けていたのです。

結局その爆弾は爆発せずに機動隊に撤去されましたが、もし爆発していたら恐ろしい話です。

待っている間なぜかAは機動隊を手伝い、仲良くなっていました。帰るときに機動隊のお兄さんたちが手を振ってくれました。

3度目は不発ではありませんでした。ショッピングモール内の映画館に仕掛けられていた爆弾が爆発しました。

「バーン!!」という音とともにモールにいた何千人もの人が一斉に走って出口に向かいます。

私は頭が真っ白になって夢中で走ろうとするのですが、膝がガクガクして早く進めません

出口まで間に合わないと思い、近くの中華料理屋に駆け込みました。

店の主人らしき人が私に奥に隠れるように促し、店のシャッターをすべて降ろしました。

30分くらいして事態が落ち着いてきたようなので、モールの外に出ました。モールから逃げ出した人で道路がごった返していました。

この爆発で1人が亡くなりました。この時ばかりはさすがに身の危険を感じました。

恋人は殺し屋

友人Tの恋人は白いTシャツの似合うさわやか笑顔の好青年

Tと3人で出かけてもそっと飲み物をもってきてくれたり、私たちが暑かったり、寒かったりしないようにさり気なく気を使ってくれる、優しい彼氏でした。

そんな素敵な彼の職業が殺し屋だなんて。

Tが私と2人きりの時に恐る恐る打ち明けてくれました。Tもどうしたらいいかわからなく、抱えきれなくなって私に言ったのでしょう。

最初は彼女の言っていることが私には非現実すぎてピンときませんでした。

そもそも「殺し屋」という職業が本当にあるかどうかも疑問でした。でも実際フィリピンにはプロの殺し屋が存在するのです。

安ければ1万円、平均相場5万円くらいで請け負ってくれるのだそうです。こんなに安く命の値段がつけられるなんてたまったものじゃありません。

そんな恐ろしい一面を一切見せないTの彼氏はわたしにもよくご馳走してくれました。

でも、事実を知ってから、「このご馳走代って……」と思うと食も進まなくなるのでした。

フィリピンの優しい強盗たち その1

マニラではよくホールドアップという言葉を聞きます。銃を突き付けられ、金品を奪われるということです。

私の周りにも経験者が何人もいます。街中の高層ビルの隙間や暗がりを歩いていると高確率で出会います

大半は銃、たまにナイフを突きつけられ、財布をこの袋に入れろとか、時計やベルトを外せとか言われます。

抵抗しない限り実際に発砲したり、刺したりすることはほぼゼロだと思います。

それどころか「全部取られると家に帰れないんです。」と言えば、バス代やタクシー代をくれたりします。

財布にホテルのカギを入れっぱなしだった友人は「ホテルのカギをなくすと弁償しなくちゃいけないんです。」と強盗に訴えました。

すると別の人たちから奪った財布がたくさん入った袋を開いて「どれだっけ?探してだして。」と強盗に言われたそうです。

カギを取り出し、「カードもないと手続きが大変で。」と更に言うと、「現金だけおいて、財布は持って帰っていいよ。」と言われたそうです。

お金も盗まれ、銃も突き付けられたのにどこかほっこりしてしまうのはなぜでしょう。

フィリピンの優しい強盗たち その2

ホールドアップのように荒々しくない強盗もいます。

それは睡眠薬強盗です。友達になるふりをして近づいて、飲み物に睡眠薬を入れて眠らせ、金品を奪います。日本人は恰好の餌食になります。

知らない人に飲み物を進められて、「ノー」と言えない人が多いからです。中には、睡眠薬が入っているとわかっていたのに飲んでしまった人もいます。

「断るのが申し訳なくて」とまんまと飲まされてしまいました。

彼女が公園にいると、「日本語を勉強しているので、いっしょにおしゃべりしていいですか。」と近寄ってきたフィリピン人カップルがいました。

いろいろおしゃべりをしていると、カップルの女性からコーラを勧められました。その時噂になってた睡眠薬強盗だと気づいたそうです。

でも、断るすべもなく、そのまま飲んでしまいました。目が覚めたとき彼女は自分のホテルのベッドの上にいました。

カバンの中の現金(数千円)はなくなっていたそうですが、パスポートや貴重品は無事でした。乱暴された様子もありません。

その公園から彼女のホテルまではタクシーで10分くらいです。

そのカップルは気を失った彼女をタクシーに乗せ、ホテルの部屋まで送り届けたのです。彼女を担ぐように運んでいたカップルを想像するとおかしくなります。

まとめ

100%極悪非道にはなれない強盗たち

心優しい殺し屋。フレンドリーな機動隊。困った人に手を差し伸べる人たち。危ないのになぜか人情味あふれる国フィリピン

何かが起きた時、見て見ぬふりや、なるべく関わらないでおこうという人たちはいません。

とはいえ、できればテロにも強盗にも遭わずにすごしたいですよね。

フィリピンは不用意に高級品を身に着けたり、人気のない暗がりなどを歩かなければ強盗に襲われることはありません。

スリ対策としては、後ろポケットに財布をいれない、ウエストポーチはいかにも「貴重品がここに入っています」と言っているようなものなので使用しないなどが挙げられます。

テロに関しては土日のショッピングモールなど人がたくさん集まる場所を避けていれば問題ないでしょう。

基本的にはすべて自分で自分を守れる範疇だと思います。

危なかった体験を書いてきましたが、一度はフィリピンに行くことをオススメします。

フィリピン人の心の温かさは実際に触れてみなければわからないからです。

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この記事を書いた人

セブ島在住歴5年のディレクターとフィリピン在住歴20年以上のセブ島を知り尽くしたスペシャリストが執筆及び監修をしています。
国家資格である総合旅行業務取扱管理者資格保有者も在籍。
その他、プロダイバー資格、インストラクター資格、救命救急のEFRを保有。セブ島で最高の体験を提供するため、日々コンテンツを研究中。

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